ふりゃあ爆弾物語②
これから起こる大事件などつゆ知らず、ふりゃあは今日も平常運転。
一方そのころ、“彼ら”も動き出していた。
お頭、また苦情の電話っす。どうするんですか?
またか。ここ数年、うちのスーパーの客離れにも困ったものだ。評判も右肩下がり、下がりすぎて脱臼しそうだ。これも全部あいつのせいだ。
お頭、どうしますか? 対策を考えないと。
時は4年前にさかのぼる。
こいつら美味そうなのりゃ~。
このえび全部買うのりゃ~。このえびもおいしそうだりゃ~。こっちのえびふらいも買うのりゃ~。
エビを片っ端から買って行く変な客。大変迷惑だ。
どうしたものか。「エビが常に売り切れている店」なんて変なレッテルが張られてしまってる。
お頭、こういうのはどうでしょう。あいつはエビしか買って行きません。だから、エビ以外に力を入れましょう。
だめだ! エビ以外の食材なんて売る価値はない!(*物語上の演出であり事実とは異なります)。俺はエビにこだわって10年間やってきた。エビを売らないなら俺はもう酸素を取り込まない!
お頭……、そんなに強い覚悟が、俺、感動です……。
お~い、店長さんや。今日もエビは売っていないのかね?
すみません、山杉さん。また例のあいつが全部買って行ってしまいまして。
まったく、最近の若いもんは。けしからんやつじゃ。今度わしが説教してやろう。
ホントですか。ありがとうございます。
妻との結婚54年と291日の記念にクルマエビを食べようと思ったんじゃが。残念じゃ。他を探すかのぉ。
3日後…
すまんな。“とうふや” みたいな感じのやつの家はここかの?
どなたでしょうか? ふりゃあ様は今、新作メニューの開発で忙しいのです。
大事な話があるんじゃ。その “とうふや” みたいな名前のやつと話をさせてくれんか。
お願いです。帰っていただけないでしょうか。私の仕事が増えてしまうんです。
じぃ~、なにやってるんだりゃ? 早く手伝ってほしいのりゃ~。
(あーあ、さらば、私の平穏な日常よ)
じ~ぃ~、って、お前だれりゃ?
あなたが “とうふや” で?
ふ・りゃ・あ・だりゃ!!
ふりゃあの名前を間違えるなんてとんでもないやつだりゃ。プイ。
そんなことより話したいことがあるんじゃ。なんでエビばっかり買ってるんじゃ?
えびがないとえびふらいが作れないのりゃ。
(あーめんどくさそー。おっ、そういえば今日セールの日じゃん。買い物行ってこよ~)
えびふらいが作れないからって全部買うのはだめじゃろ。
そんなの知らんりゃ。そんなに食べたいなら自分で捕ってくればいいのりゃ。
じゃああなたが捕ってくればいいじゃないのか。
言ってる意味が分からないのりゃ。なんでそんなめんどくさいことをしなきゃいけないのりゃ? ちゃんと考えてから発言した方がいいのりゃ。
いやいや、あなたが先に言いだしたんじゃないのか?
ふりゃあが先に言ったからふりゃあの勝ちなのりゃ。
え? ん? あ、はい……。
そんなことより、ふりゃあの新作を食べてほしいのりゃ~。
新作?
えびふらいとハンバーグを合わせた究極の料理、『えびふらい in ハンバーグ』だりゃ!
えびふらい in ハンバーグ!?
買い物を終えた執事が帰宅すると、ふりゃあと山杉さんは意気投合していた。
いやぁ~、あの『えびふらい in ハンバーグ』、なかなかおいしいじゃないか。
そんなことないのりゃ~♪ ほめられたって嬉しくないのりゃ~♪
(はぁぁ、山杉さんに執事代わってもらおっかな。)
一方そのころ、布里も動き出していた。
ついに最初の謎が登場!
次ページへと続く…!